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50歳を超えてもがんにならないために、野菜や果物は皮まで食べよう

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欧米化した食生活の改善、それががんにならないための第一歩だ。医師の南雲吉則氏が勧める、長く健康でいられる食事法とは。

【写真】

◆◆◆

50歳を超えてもがんにならないための具体的な方策について、まず伝えたいのが「食生活」です。これまでも、欧米化した食生活の弊害については話題に出てきましたが、ここで「食生活から考えるがん予防」について、より詳しく説明しておきます。

かつて私は『抗がんサプリメントの効果と副作用徹底検証!』(三省堂、2005年)という本を出すことになり、ありとあらゆるサプリメントについて調べたことがあります。がんの専門医として日々患者さんと接するなかで、手術、抗がん剤、放射線治療のいわゆる「三大療法」以外で何か有効な取り組みはないものかと考えていたのです。

そこでがん予防に効果があるといわれる様々なサプリメントについて、海外の論文を含めて徹底的に調べたのですが、残念ながら効果のあるものは一つもないことがハッキリしたのです。

50歳を超えてもがんにならないために、野菜や果物は皮まで食べよう
©iStock.com

これには私自身が大きなショックを受けました。これだけ数多くの種類のサプリメントが出回り、数多くの人たちが利用しているにもかかわらず、どれ一つとしてがんの予防効果を立証できるものがなかったのです。

「皮」の重要な働き

一方、サプリメントではありませんが、がん予防に有効性が認められた食べ物がありました。「新鮮な野菜と果物」です。サプリメントがダメでも、野菜や果物を上手に食べていくことで、効果的ながん予防が可能なのではないか、と考えた私は、さらに調査にのめり込んでいきました。

この調査でわかったことは、野菜や果物で最も重要な働きをしているのは「皮」だということ。端的に言ってしまえば、皮を食べなければ意味がない――ということなのです。

野菜や果物の皮というのは、実を外界から守るためのバリアです。例えばリンゴの皮をむくと茶色く変色します。これは実が酸化して起きる現象。皮があると酸化しないということは、皮に「抗酸化作用」があることを意味します。

皮の効用はまだあります。木になっているリンゴを鳥がつついたりしても、そのキズは自然に修復されて、きれいな皮が張ります。これは、「創傷治癒作用」があるということです。

さらにもう一つ。皮があることで外界のばい菌やカビなどが内部に侵入していくことも防いでくれます。つまり「抗菌作用」です。

喫煙によって発生した活性酸素の働きを抑え込む「抗酸化作用」。タバコやアルコールなどの刺激物が作り出す粘膜のキズを修復してくれる「創傷治癒作用」。胃がんや肝がん、子宮頸がんを起こす菌やウイルスの感染症を阻止する「抗菌作用」――。いずれも放置すればがんに進展していく危険性の高い因子を、野菜や果物の皮の有効成分がブロックしてくれるのです。

「1日1個のリンゴは医者いらず」の本当の意味

昔から「一日一個のリンゴは医者いらず」と言われます。でもこれは、皮をむかずに丸ごと食べたときの話。海外では果物は皮ごと食べるのが当たり前ですが、日本では皮をむいて食べます。しかし、皮をむいてしまうと、あとに残るのは糖やデンプンばかり。これを食べたところで「医者いらず」にはならないのです。

リンゴばかりではありません。ミカンだって同じことです。ミカンの皮は「陳皮」とよばれ、漢方薬の7割に含まれるほか、七色唐辛子の主要成分としても利用される、非常に優れたポリフェノール(植物成分)の一種なのです。

同じ柑橘類でも、キンカン、ユズ、カリンなどは、昔から皮ごと食べる習慣が日本でもありました。これは「カゼを引かないため」という理由によるもので、伝統的にこれらの果物の皮には有効成分があることが知られてきたのです。ならばミカンだって皮ごと食べてもおかしくないはず。これを読んだことをきっかけに、読者の皆さんには、ぜひ皮ごと食べる習慣を身につけてほしいと思います。

ちなみに私は、バナナとパイナップルのように皮ごと食べられない果物は食べないことにしています。

なぜゴボウは腐らないのか

ミカンの皮にポリフェノールが含まれているという話を書きました。ほかにも野菜や果物の皮には、色々なポリフェノールが豊富に含まれています。ブドウの皮のレスベラトロール、トマトの皮に含まれるリコピンなど、いずれもがんを予防する効果が科学的に証明されています。

そんな中でも、最も強力な抗酸化作用を持っているポリフェノールは何かと言えば、それはゴボウです。

ゴボウは土の中で育つ野菜。同じポリフェノールを持っているとはいえ、ミカンやトマトを土の中に埋めておいたら腐ってしまいます。なのにゴボウは腐らないのはなぜかと言えば、きわめて強力な抗菌作用を持つポリフェノールに守られているからなのです。

ゴボウに含まれるポリフェノールは「サポニン」といいます。サポニンの「サポ」は「シャボン」から来ています。つまり、洗剤のような界面活性作用を持っているのです。

そんなサポニンが、どのような仕組みで抗菌作用を示すのか。詳しく説明していきましょう。

「サポニン」の抗菌作用

油で汚れた鍋などに洗剤を垂らすと、一瞬にして油が中和されます。この現象を「ミセル化」といいます。

細菌は一つの細胞でできていますが、その周りの細胞膜はコレステロールという脂でできています。そして、サポニンはこのコレステロールをミセル化し、細菌の細胞膜を分解して抗菌作用を発揮するのです。

これと同じことが、サポニンを摂取することによって私たちの体の中でも起きるのです。

ゴボウを食べれば、サポニンが腸管内の余分な脂をミセル化・分解してダイエット効果が現れます。血中では血管壁にへばりついているコレステロールをミセル化・分解し、動脈硬化を予防する働きを示してくれます。

つまりサポニンは、がんだけでなく、生活習慣病全般の予防に効果があり、アンチエイジングにも大いに役立つのです。

しかし、そんな有益な成分であるサポニンを含むゴボウでも、毎日3食食べるわけにもいきません。そこで私は「ゴボウ茶」を推奨しているのです。キンピラにするとなると塩や油を使うことになりますが、お茶であれば調味料も不要です。まったくカフェインを含んでいないので、子供やお年寄りが何杯飲んでも大丈夫。寝る前に飲んでも不眠になりません。

またゴボウは慢性・アレルギー性の皮膚炎・気管支炎に効果のある漢方薬でもあるので、夏場の肌荒れや咳にもいいですね。季節を問わず、湯沸しポットに作り置きして、家族全員で、毎日飲んでほしいですね。

ゴボウ茶の作り方

泥の付いた新鮮なゴボウを2本用意します。サッと水洗いしたら、皮はむかずにピーラーで皮ごとささがきにしていきます。
ささがきにしたら、水に浸したりせずに、ざるなどに広げて天日干しをします。夏は2時間、冬は3〜4時間が目安です。
その後フライパンで油を引かずに10〜15分ほどかけて乾煎りし、全体が焦げ茶色になったらできあがり。
これを急須に5グラムほど入れて、熱湯を注ぐと「ゴボウ茶」の完成です。夏は冷やして召し上がって下さい。

(南雲吉則/文春ムック文春クリニックがん「予防」と「早期発見」の最前線)

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2018/11/15 07:00

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